ティーポットでお茶をたくさん淹れて楽しむ場合、一定時間の抽出ののち、茶葉を抜いて別のポットなどに移してから飲むスタイルと、茶葉をお湯に浸したまま提供し、濃くなった２杯目は、お湯やミルクで割るというスタイルとの二通りがあります。

プロの間でも、どちらがよいかということについては意見が分かれるところで、例えば御茶ノ水の名店として君臨しつづけるタカノでは、茶葉は浸したままですし、同じく御茶ノ水の、(いまはなき)サーモピレーでは、茶葉を抜いて提供していました。

ジークレフでは開店当初は、ポットでカップ３杯分の紅茶を供し、時間の移り変わりによる味の違いを楽しんでいただくというスタイルをとっていました。けれども最近では、抽出時間ぴったりで茶葉を漉し、２杯目以降も１杯目と同じ濃さ、同じ味になるようにサーブしています。

理由は、常にベストの味に調整しておだししたいから。それと、ためしに日本茶や中国茶はどうかと調べたところ、急須や茶壷の中でお湯に茶葉を浸し続けることをよしとする流儀はあまり存在しなかったということもあります。その一方で、どこの国でも日常茶のレベルでは、茶を注ぎきらないケースも多いということもわかってきました

茶を注ぎきるべきか、ポットに残しておくべきか。例の「ミルクが先か紅茶が先か」というテーマに比べると、掘り下げ甲斐があるように思います。あなたはどちらがお好みですか？

「こんばんは。」
台車で店に納品に向かう途中、ひとりの小学生に話し掛けられました。
交差点で突然声を掛けられたのでびっくりしましたが、私も「こんばんは」と挨拶しました。

「これは何ですか？」彼は、私の荷物の中身に興味を持ったようでした。
「紅茶ですよ。」
「紅茶！高級？」
「うん、高級。」
台車の荷物は、お客様の出産の御祝いの紅茶でした。
「お仕事ご苦労様です。」彼はにこにこしながら頭を下げました。

「お勉強の帰り？」今度は私が聞きました。
「そう、塾に行っていたの。」
「お勉強、お疲れ様」
私が言ったのはちょっと不自然かも･･･とも思いましたが、出会い方からして不自然なのでいいかな、という気になりました。

そして、待っていた信号機が青にかわりました。
「さようなら。」そういって彼は交差点を渡って行きました。
私も「さようなら」と挨拶をしました。

吉祥寺の街角で、見知らぬ人に気安く声を掛けられるのは、不思議な気分ではありましたが、イヤな気はしませんでした。
交差点を渡り、彼はどんな大人になるのかな、と台車を押しながら考えました。
そして、そんな風に考える自分はもうおじさんになったのかな、と思いました。

今朝ほど、ゴールデンウィークの後半には間に合うとこのコーナーに書いたスリランカの新茶の紅茶ですが、どうもゴールデンウィーク後の、５月10日ごろの入荷となりそうです。

私自身、待ち遠しいことこの上ありません。もう少しだけ、お待ちくださいね。

スリランカから春の新茶を載せた船が着きました。
もうすぐ春の新茶が店頭に出揃います。

今年のオススメはなんといってもヌワラエリヤシーズナル。ラバーズリープの、あの滑らかな味わいは今年も健在です。
この農園、紅茶の製造工程のひとつである「発酵」をまったくしていません。最もヌワラエリヤらしいこの紅茶が、最も紅茶らしくない作り方をしているというわけです。お味のほどは、ゴールデンウィークの後半には皆様にご披露できると思います。お楽しみに。

スリランカでは、今ベストシーズンを迎えています。

ベストシーズンとは、紅茶が最もたくさん収穫できる時期で、クオリティシーズンとは異なります。

この時期は、茶樹の剪定を行って樹勢を回復したり、どんどん伸びる茶葉を収穫したりと、茶園にとっては大忙しです。残念ながら雨の多いこの時期は、香りの方は今ひとつですが、フレーバーティなどにはそういう紅茶が逆に向いています。よく出来ていますよね。

店頭でテイスティングでお出ししているNo.3a ダージリンファーストフラッシュは、おかげさまでとてもご好評をいただいています。このファーストフラッシュ、もし水質がよければ、ぜひ茶葉を多めにして長めに抽出していただければと思います。

具体的には、150ccについて3g前後の茶葉を使っていただき、抽出も6分ないし、7分程度みていただくとよいと思います。水についても、ただの水道水よりも、浄水器を通した水か国産のミネラルウォーターを使ったほうが、香りもよりたつようです。

なおこの紅茶、カップに満たして数分待つと、スペアミントのような甘い香りがカップを満たし、えもいわれぬ風味を感じることができると思います。これは、カップから香りたつ香り成分のうち、空気より重いものがカップの中にだんだんたまっていくためで、紅茶を飲みきったあとのカップの残り香をきいていただいても同様の香りを楽しんでいただけます。

そんなふうに、よい紅茶はいろいろな角度から楽しめるんです。

今日から吉祥寺店では、ラプサンスーチョンを発売しました。オンラインストアでは、近日中に発売となります。

武夷山の星村という小さな村でつくられた、昔ながらのラプサンスーチョン。輸出のために、燻香をたくさんつけたものとは、ひと味もふた味も違いますよ。