「こんばんは。」台車で店…

「こんばんは。」
台車で店に納品に向かう途中、ひとりの小学生に話し掛けられました。
交差点で突然声を掛けられたのでびっくりしましたが、私も「こんばんは」と挨拶しました。

「これは何ですか?」彼は、私の荷物の中身に興味を持ったようでした。
「紅茶ですよ。」
「紅茶!高級?」
「うん、高級。」
台車の荷物は、お客様の出産の御祝いの紅茶でした。
「お仕事ご苦労様です。」彼はにこにこしながら頭を下げました。

「お勉強の帰り?」今度は私が聞きました。
「そう、塾に行っていたの。」
「お勉強、お疲れ様」
私が言ったのはちょっと不自然かも・・・とも思いましたが、出会い方からして不自然なのでいいかな、という気になりました。

そして、待っていた信号機が青にかわりました。
「さようなら。」そういって彼は交差点を渡って行きました。
私も「さようなら」と挨拶をしました。

吉祥寺の街角で、見知らぬ人に気安く声を掛けられるのは、不思議な気分ではありましたが、イヤな気はしませんでした。
交差点を渡り、彼はどんな大人になるのかな、と台車を押しながら考えました。
そして、そんな風に考える自分はもうおじさんになったのかな、と思いました。

トリビア | - | -2003.05.03 Saturday