ダージリン2ndフラッシュ サングマ農園 DJ-137 Ch Muscatel

乾燥茶葉:ダージリン2ndフラッシュ サングマ農園 DJ-137 Ch Muscatel
7A_乾燥茶葉

これは第一便の紅茶となるサングマ農園のDJ-137 Ch Muscatelです。今年最も素晴らしいセカンドフラッシュを、最も多く産したと思われるサングマ農園の紅茶の中でも、極上の一品です。

昨日のブログでも述べさせていただいたとおり、ジークレフでは今年も問題なく極上のマスカテルお茶を買い付けることができました。これには理由があります。

今年のセカンドフラッシュは当初とても出来がよいのではないかと期待されていました。産地のテイスターからもそのような状況が入っていましたし、最初に届いたサンプルの中に、予想を上回るクオリティの紅茶が既にあったからです。

しかし、6月上旬に届いたサンプルをテイスティングしていて、事態はそんなに思わしくないことが見て取れました。ある程度のスキルを持ったテイスターであれば、そのお茶からその日の天候や気温、湿度、茶葉の生育状況などが、製茶をする上でよいコンディションであるかどうかを読み取ることができます。そして同じ農園のサンプルを時系列に沿って並べれば、今後の見通しについてもある程度は察することができます。もちろん、政治的な問題をそこに読み取ることはできませんが、生産にかかる事柄であればおぼろげながら見通せるのです。

さて、6月5日に当社に届いたサンプルには、ダージリンの各地の重要農園のものがいくつも含まれていました。それを見たところ、エリアによらずその半数の農園では、今後品質が向上する見込みがほぼないことが読み取れました。それらの農園は、前半に品質のピークが来るはずの農園でしたが、品質は十分とはいえず、しかも時系列に沿って向上していなかったのです。

ジークレフはダージリンの農園ならどこでも買い付けるわけではなく、自然と共生する有機農業を行い、フェアトレードの理念に基づき末端の労働者まできちんと配慮をする農園など、作り手の理念に共感し支持できることを買い付けの条件としています。そうなると、それらの条件を満たした上で、今季自信をもって紹介できる作品をつくる作り手は、この段階でほんの数農園に限られることが見通せたのです。

そこで、直ちにそれらの農園の紅茶の中で、最もよいと思われる紅茶の買い付けを実施し、シーズン前半のうちにほぼ重要なラインナップを確定させました。冒頭のサングマ農園のDJ-137は、この日に買い付けた作品のひとつです。

政治的な問題の発生する前にこうしたアクションを取ることができたのは、極めて僥倖であったというしかありません。このサングマ農園の紅茶をはじめ、最初の荷物は無事弊社に届き、いよいよ明日から発売開始となります。

幸運にも確保することができた貴重なセカンドフラッシュ、ぜひお楽しみいただければ幸いです。

茶液:ダージリン2ndフラッシュ サングマ農園 DJ-137 Ch Muscatel
7A_茶液

茶殻:ダージリン2ndフラッシュ サングマ農園 DJ-137 Ch Muscatel
7A_茶殻

産地の息吹 > ダージリン | - | trackbacks (0)2017.07.20 Thursday

ダージリンの生産がストップしている件について

ダージリンテイスティング2
あまり国内のニュースでは報道されていませんが、実はダージリンでは今、大変な事態が巻き起こっています。この一か月以上、ダージリンの全農園で生産がストップしているのです。

きっかけは、西ベンガル州の義務教育課程において、ベンガル語の履修が必修となったことでした。ダージリンエリアには、ネパール系の住民が多く、インドの多彩な公用語のひとつであるベンガル語の学習を強制されたことに反発して、無期限のゼネラルストライキが発令されたのです。

6/13には、これを受けてすべての商店がシャッターを閉め、農園もすべて操業を停止しました。ストライキは過激化し、ダージリンエリアの州としての独立を目指す大きな動きとなりました。西ベンガル州からの分離独立を目指す勢力は軍や警察と衝突し、死傷者も少なからず出ている状況です。こうして一か月が過ぎ、ダージリン全体で、生活に必要な物資が枯渇するような状況に陥っています。

このような状況の中で、当然のことながら紅茶産業は大打撃を受けています。もともと遅れていたセカンドフラッシュは収穫が完全にストップしました。手元の資料を見る限り、ピーククオリティのダージリンのサンプルは2週間分しか届いていません。現段階で、このような状況がいつ打開され、好転するかは定かではなく、少なくとも8月半ばまでは、生産が再開されることはないようです。

農園の人々をはじめ、ダージリンのすべての人々は、このような事態にあって、当然のことながら苦境に苛まれています。また国内外のバイヤーも、このような状況下で満足な買い付けができなかったところも少なくないと聞きます。ダージリンの相場は跳ね上がり、直近のオークションでは多少なりともセカンドフラッシュの個性があるものは、普段の倍以上の価格で取引されたようです。まずは一刻も早く、事態が解決し、ダージリンをめぐるすべての人々に平穏が訪れるよう、祈りたいと思います。

なおジークレフに関しては、おかげさまでこの事態が勃発する以前に、あらかたの買い付けを終えることができていたので、入荷には全く影響はありませんでした。加えてストライキの第一報後も、意欲的に買い付けを行いました。結果として、質量ともにとても充実した買い付けができたと自負しています。

今年も変わらず、極上のダージリンはここにあります。今週末から順々にご紹介していきたいと思いますので、どうぞご期待ください。

産地の息吹 > ダージリン | - | trackbacks (0)2017.07.18 Tuesday