紅茶とまったく関係ない話で恐縮な…

紅茶とまったく関係ない話で恐縮なんですが、個人的にジークレフの並びにあるメキシコ料理やさんに最近ハマッています。メキシコ料理というと、なんとなく味の強いような印象があるのですが、この店"Entrance Mondo"は素材の味がよく出ていて(かなりよいものを使っています)、ナチュラルな感じがします。

とくにおすすめは、お昼のランチのメキシカンカレー900円。
ココナツパウダーが香るマイルドな風味のカレーは、食べやすくしかも従来にない新感覚のカレーです。カレー激戦区の吉祥寺にあって、十分存在感のある味ですよ。ほかには当然のことながらタコスもおすすめ。場所は、あの名店「ティークリッパー」のあった建物の地下です。

トリビア | - | -2004.02.27 Friday

臨時休業のお知らせ\…

臨時休業のお知らせ

紅茶葉専門店ジークレフ吉祥寺店はリニューアルのため、3/1〜3/5まで臨時休業いたします。なお、オンラインストア、電話、ファクスでの通信販売は休業期間中も、通常通り受け付けております。

3/6より"TEA MARKET G clef"としてリニューアルオープン致します。

お店からのご案内 > その他の商品 | - | -2004.02.26 Thursday

昨日は、テイスターが味覚や嗅覚を…

昨日は、テイスターが味覚や嗅覚をセンサーとして利用し、その味や香りをもたらす成分を測っているのだということを示しました。これはとても重要なことです。しかし、これだけでは、テイスターとしては万全とはいえません。いくら感覚が優れていても、その人の思うよさが、万人のよさとかけ離れていては、そのセンサーは役に立たないのです。

実はここでつまずいているテイスターはけっこういます。例えば渋すぎる紅茶を選んでしまう場合。テイスターは概ね渋みに強くなりがちなので、渋くはいりやすいという特性を軽視してしまうんですね。

では、何をもってよい紅茶とするか。実は「よい」の具体的な内容については、テイスター(もしくは会社)によって異なります。何をもって「より日持ちがする」とするかは、ある程度客観的に論じえるでしょうが、何をもって美しい色とするか、何をもってよい香りとするかは、結局ひとりひとりの主観で決まるからです。

大手の会社の中には、「よい」の基準を市場調査に求めているところもあります。ある程度の人数を無作為に抽出して、どの風味が最も好まれるかを調べ、それに近いものを提供しようと考えるのです。

ジークレフは今のところ市場調査はしていません。それぞれの産地のもつ個性をどれくらいよく実現しているかという尺度に従って紅茶を選んでいます。ニルギリは甘くて華やかな香りを湛えるもの、ミルクティ好きな方を念頭におきつつ、スウィートポテトのような香りの楽しめるもの、といった風に、それぞれの産地ごとにジークレフの理想に近い紅茶を選ぶようにしています。

上記のことからわかるとおり、紅茶のよしあしについての価値判断は、どこまでいっても客観性を持つことはできません。せいぜい、多数の主観による多数決が可能なぐらいです。ですから、テイスターも万人にとっての最高の紅茶を選ぶことは不可能です。できる最大限のことは、紅茶における「最大多数の最大幸福を追求する」ことぐらいなのです。

そのためジークレフでも、できる限りさまざまな産地から、多様な個性を持つ紅茶を入荷するように心がけています。そして、ひとりひとりのお客様と対話することによって、そのお客様ひとりひとりにとっての最高の紅茶を見つけること、それが万人にとってのおいしさを追求する、私たちの答えなのです。

お茶を知る > お茶の豆知識 | - | -2004.02.20 Friday

昨日は、テイスターが自分の主観の…

昨日は、テイスターが自分の主観の中で紅茶の優劣を比較するときには、論理学でいう三段論法が適用できることを示しました。

次に、テイスターの主観的判断、「私はこの紅茶を最もよいと思う。」を客観、すなわち「この紅茶は最もよい紅茶だ」に近づけるためにはどうしたらよいかについて考えてみましょう。

ある紅茶が「よい」といったとき、そこには必ず理由があります。
・より甘みがある。
・より香りがある。
・色が美しい。
・より日持ちがする。
等々。

こうした尺度を念頭に置いたとき、もう一歩踏み込んで考えると、そこには科学的な根拠があるはずです。つまり、「甘みを担うAという成分が多い」とか、「香りを担うBという成分が多い」とかです。逆に「Cという風味があるからにはより日持ちがするはずだ」などという推論も、同様の理由から成り立ちます。味覚は個人的なものですが、その味覚を感じさせる成分自体は、客観的にそこに存在します。テイスターの味覚や嗅覚、視覚は、味や香りから、そうした紅茶の持つ属性を推察することによって、主観を客観と結びつけることができるのです。

ですから時には、今おいしいAよりも、将来にわたってよりおいしくなるBを選ぶ可能性は、実際に存在します。それは例えば、Aという紅茶を今おいしく感じさせてくれる成分aは、2ヶ月しか保持しない成分である、などという場合におこります。冒頭の命題で、「おいしい」ということばを使わず、「よい」と書いたのはそういう理由からです。

このように、テイスターは自らの感覚をセンサーとして利用します。センサーの性能は個々人によって違いますが、よいセンサーを持つだけではまだ、優れたテイスターとはいえません。それは何故か。そのことについてはまた明日考えましょう。

お茶を知る > お茶の豆知識 | - | -2004.02.19 Thursday

先日このコーナーで、おいしさとい…

先日このコーナーで、おいしさというのはひとりひとりが個別に感じる主観的な概念なのに、テイスターは万人にとってのおいしさを追求する仕事だと述べました。では、テイスターはどうやって万人にとってのおいしさを見極めるのか。今回はこの問いについての私の考えを述べたいと思います。

命題
ある産地で収穫されたA・B・Cという三つの紅茶をテイスティングしたとする。そのとき、AがBよりよく、BがCよりよいとしたならば、必ずAはCよりもよい。

紅茶にはおのおのの個性があり、それぞれのよさがあるとはいっても、テイスターはこの三段論法を受け入れる必要があります。この論理を突き詰めていくと、比較可能な産地の紅茶であれば、必ず序列をつけることが可能になります。ときにはAとBとが同等ということはありますが、じゃんけんのように3すくみにはなりません。というわけで、ある産地の紅茶の中で優劣を論じることは「私」という主観を前提とすれば可能になります。

なお、この尺度は、ダージリンならダージリン、アッサムならアッサムという同じカテゴリーの中でのみ有効です。ダージリンとアッサムでは、良さを判断する価値基準そのものが違うので比較は成立しません。(長くなりそうなので、続きはまた次回にしますね。)

お茶を知る > お茶の豆知識 | - | -2004.02.18 Wednesday

先日このコーナーで、おいしさとい…

先日このコーナーで、おいしさというのはひとりひとりが個別に感じる主観的な概念なのに、テイスターは万人にとってのおいしさを追求する仕事だと述べました。では、なぜテイスターとは、どうやって万人にとってのおいしさを見極めるのか、についての私の考えを述べたいと思います。(今日の文章は複雑でしかも長いです。)

命題1
ある産地で収穫されたA・B・Cという三つの紅茶をテイスティングしたとする。
そのとき、AがBよりよく、BがCよりよいとしたならば、必ずAはCよりもよい。

紅茶にはおのおのの個性があり、それぞれのよさがあるとはいっても、テイスターはこの命題を受け入れる必要があります。この論理を突き詰めていくと、比較可能な産地の紅茶であれば、必ず序列をつけることが可能になります。(この尺度は、ダージリンならダージリン、アッサムならアッサムという産地の中でのみ有効です。ダージリンとアッサムでは、良さを判断する価値基準そのものが違うので比較は成立しません。)

というわけで、ある産地の紅茶の中で優劣を論じることは「私」という主観を前提とすれば可能になります。次に、その主観を客観に近づけるためにはどうしたらよいか?

ある紅茶が「よい」といったとき、そこには必ず理由があります。
・嫌な味、香りがない。
・よりまろやかだ(=雑味がない)。
・より甘みがある。
・より香りがある。
・味のバランスがとれている。
・色が美しい。
・淹れ方を多少変えても、よりおいしくはいりやすい。
・上記の「よい」状態をより長く保ち続ける。

こうした尺度を念頭に置いたとき、もう一歩踏み込んで考えると、そこには科学的な根拠があるはずです。つまり、「甘みを担うAという成分が多い」とか、「香りを担うBという成分が多い」とかです。逆に「Cという風味があるからにはより日持ちがするはずだ」などという推論も、同様の理由から成り立ちます。味覚は個人的なものですが、その味覚に由来する科学的な根拠は、客観的にそこに存在します。テイスターの味覚や嗅覚、視覚は、味や香りから、そうした紅茶の持つ属性を推察することによって、主観を客観と結びつけることができるのです。

ですから時には、今おいしいAよりも、将来にわたってよりおいしくなるBを選ぶ可能性は、実際に存在します。それは、Aという紅茶を今おいしく感じさせてくれる成分aは、2ヶ月しか保持しない成分である、などという場合におこります。冒頭の命題で、「おいしい」ということばを使わず、「よい」と書いたのはそういう理由からです。

実は「よい」の具体的な内容については、テイスター(もしくは会社)によって異なります。何をもって美しい色とするか、何をもって味のバランスがとれているかは、結局個人の主観で決まるからです。大手の会社の中には、「よい」の基準を市場調査に求めているところもあります。私は市場調査をしませんので、自分の好みを大切にしながら、万人にとってのよさを想像するにとどめています。(ついでに私の好みを言わせて貰うと、それぞれの産地のもつ個性をよく実現している紅茶が大好きです。)

このようにして設定した基準に従って、最も「よい」紅茶を選べば(ブレンドの場合はつくれば)、多くの人にとってより「おいしい」と感じてもらう確率が高まります。最終的においしいと感じてほしい主体は「私」ではなく、実際に紅茶を買って飲むみなさんなのですから、そこに私がよさを押し付けることはできません。しかしその上で、より多くの人においしいといってもらえる紅茶を選び取ることができるかどうかが、テイスターの腕の見せ所なのです。

お茶を知る > お茶の豆知識 | - | -2004.02.18 Wednesday

今年はじめてスリランカから紅茶の…

今年はじめてスリランカから紅茶のテイスティングサンプルが届きました。そうです。ディンブラとヌワラエリヤ。セイロンのウェストグロウンティの旬の時期がやってきたのです。

今年は、実は一月中に好天に恵まれたため、例年よりも早く2月第三週にピークが訪れるのではないかと期待されていました。残念ながら2月初めに南インドとセイロン島全体に雷雨が続いた為、いったんは香りは後退してしまったのですが、本番はまだこれからです。今回テイスティングしたのはその降雨の前に摘まれたもので、まだピークに達していないながら、春の香り(スリランカの高地は常春の地ではあるのですが)を十分に楽しめました。

実は私はディンブラが大好きで、毎年シーズナルのディンブラを楽しみにしているのですが、1998年以来、本当に満足できるクオリティにはお目にかかっておりません。しかし、内戦も終結し労使関係も改善され、人事は既に整っています。あとは天運を待つのみ。大いに期待したいところです。

産地の息吹 > スリランカ | - | -2004.02.17 Tuesday