最近、クローナルとは何かというこ…

最近、クローナルとは何かということについて議論があるようなので、私の知っていることを少し書いておくことにします。

クローナルとは、「ある親株と全く同じ遺伝子(=同じ特徴)を持つ茶樹」のことです。(大概の場合、挿し木でつくります。)従って原理的には、中国種のクローナル、アッサム種のクローナル、両者のハイブリッドのクローナル等、さまざまなクローナルが存在してしかるべきです。にも関わらず、実際にはクローナルといえば、あの特有のクローナルフレーバーを備えている。これはなぜか。

これは、1970年代にクローニングが実地に応用されるようになって以来、クローニングの技術が利用して植えられたものが、ほとんど全てチャイナハイブリッドであったという事実によるものです。日本のほとんどの書物では、「クローナルとは中国種とアッサム種を掛け合わせた品種」であるという説明がなされていますが、現実的にその説明は間違っているとはいえないのです。

しかし、なぜそれを「チャイナハイブリッド」でなく「クローナル」と呼ぶのか。

これを丹念に見ていこうとすると、19世紀からのインドの紅茶産業の変遷を、詳細に見ていかなければなりません。これは実に難しい作業で、インドのプロフェッショナルの間でも結論の出ていない問題が含まれています。

「クローナル」を含め、品種の概念については、いろいろとわかりにくいことが多く、きれいに一口で真実を説明することはなかなかかないません。でも、それは別に日本の紅茶に関わる人々が不勉強なせいではなく、インドの茶業関係者にとっても、よくわからない部分だったりするのです。

ちなみにクローニングについては、このオンラインストアのフォトギャラリーのインド編の30番台あたりに参考になる写真をいくつか掲載してあります。これは私がずいぶん前にダージリンの農園(セリンボン農園)に勉強に行った際に撮影したものです。興味のある向きはどうぞご覧下さい。

お茶を知る > お茶の豆知識 | - | -2004.05.31 Monday

ダージリンでは、もはや2週間以上…

ダージリンでは、もはや2週間以上雨が降り続いています。このままモンスーンシーズンに突入することでしょう。例年になく厳しい状況といわざるを得ません。

よいセカンドフラッシュが全くなかったわけではありません。しかし、本当によいものを産する農園は極めて少なく、相場もかなり高騰しています。このような状況で中途半端に情報を流すのは、ほかのバイヤーの方のご迷惑になるため、この1週間ぐらいは、ダージリン情報は控えさせていただいておりました。

一つ言えることは、日本の紅茶専門店の中には、このような状況の中でも、これはと思えるものをおさえることができる底力があるところがいくつもあるということ。レベルの高い消費者に支えられているからです。

弊社もまた、無事に素晴らしいセカンドフラッシュを確保することができました。詳細は、近日中にご案内できる見込みです。

産地の息吹 > ダージリン | - | -2004.05.29 Saturday

ダージリンのセカンドフラッシュの…

ダージリンのセカンドフラッシュの状況は例年になく厳しいものとなっています。このコーナーで買いつけの状況について逐一ご報告しようかと思っていたのですが、現在のところあまりよいニュースには恵まれていません。

とはいえ、こういうときこそふだんからの情報網と産地との信頼関係が試されるもの。今が専門店の腕の見せ所と心得ています。

産地の息吹 > ダージリン | - | -2004.05.28 Friday

セカンドフラッシュのサンプルが、…

セカンドフラッシュのサンプルが、産地から続々と届き始めました。
中には、堂々たるマスカテルフレーバーのものもいくつかあります。

私の見たところ、本来予想されたピークを迎える前に、少量だけ、とてもよい紅茶が摘まれたということのようです。早生のセカンドというべきでしょうか。これは先週までの天候がすこぶる良かったためです。

天候といえば、ダージリン市街ではここ1週間雨続きでした。
適量の雨はクオリティを押し上げます。しかしもし雨が多すぎる場合には、風味は飛んでしまいます。

今年の作柄が、この1週間の雨によって思わしくないものとなる場合には、今届いているいくつかの良質な紅茶は、稀少なマスカテルとなるでしょう。実際、良かったサンプルの後に摘まれたダージリンの風味は、落ち込んでしまっています。

一方今後の天候次第では、今届いているものよりも良い物が出てくる可能性もあるかも知れません。

買付けが一筋縄でいかないのはいつものこと。
もしジークレフが5種類ぐらいのセカンドフラッシュを買付けるのであれば、現時点で最高の物を必ず抑えておくのですが、今回のものは見送ることにしました。ダージリンの買付けは、こういうギャンブル的な要素がつきものです。賭けに強くないとおいしいダージリンは手に入らない、ということもたまにあります。

産地の息吹 > ダージリン | - | -2004.05.22 Saturday

「茶のこころ」と聞いて、どんなこ…

「茶のこころ」と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?
おそらく多くの人は、一杯のお茶に込められたおもてなしのこころとか、茶の背景にあるひとつの世界がイメージとして浮かぶことと思います。

お茶というのは不思議な飲み物です。飲み物のひとつ、嗜好品のひとつではあるのですが、ただそれだけにとどまらない。「珈琲のこころ」とか、「ワインのこころ」といわれてもピンとこないのに、「茶のこころ」ということばは自然に感じられます。

茶は、どこかしら目を自分の内面に向けさせる力があるように思います。それがすばらしいお茶であればあるほど、茶と向き合うことを通じて、人は自分のこころと向き合うことができるのです。

しかしその一方で、茶はそれを淹れた人のおもてなしの結晶でもある。それもすばらしいお茶であればあるほど、淹れた人のこころを強く映し出すものでもあります。

淹れた人のこころといただく人のこころが一杯の茶で交差する。
そういうお茶の持つ力が、茶をただの嗜好品を超えた何かに高めているのでしょう。茶道の原点も、もしかしたらこのあたりにあるのではないでしょうか。

トリビア | - | -2004.05.21 Friday

紅茶ファンに朗報です。フォートナ…

紅茶ファンに朗報です。フォートナム&メイソンが日本に上陸するらしいですね。

三越とのジョイントで、10月には1店舗目がオープンするそうです。なるほど直接上陸するなら、今までのことも合点がいきますね。

トリビア | - | -2004.05.21 Friday

今年初めてのセカンドフラッシュが…

今年初めてのセカンドフラッシュが届きました。

さすがに早すぎるので、セカンドのタッチがあるぐらいだろうぐらいに思っていたのですが、テイスティングしてみると既に十分な領域に達しています。セカンドフラッシュ特有のマスカットフレーバーが、上品に香りたち、カップ水色、茶殻のつややはり具合もなかなかのものでした。

この時期はことさら忙しく、おとといは中国茶の第二便、昨日はスリランカのウェストグロウンティが到着しています。これらはもうすぐ発売開始です。

産地の息吹 > ダージリン | - | -2004.05.17 Monday