「茶のこころ」と聞いて、どんなこ…

「茶のこころ」と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?
おそらく多くの人は、一杯のお茶に込められたおもてなしのこころとか、茶の背景にあるひとつの世界がイメージとして浮かぶことと思います。

お茶というのは不思議な飲み物です。飲み物のひとつ、嗜好品のひとつではあるのですが、ただそれだけにとどまらない。「珈琲のこころ」とか、「ワインのこころ」といわれてもピンとこないのに、「茶のこころ」ということばは自然に感じられます。

茶は、どこかしら目を自分の内面に向けさせる力があるように思います。それがすばらしいお茶であればあるほど、茶と向き合うことを通じて、人は自分のこころと向き合うことができるのです。

しかしその一方で、茶はそれを淹れた人のおもてなしの結晶でもある。それもすばらしいお茶であればあるほど、淹れた人のこころを強く映し出すものでもあります。

淹れた人のこころといただく人のこころが一杯の茶で交差する。
そういうお茶の持つ力が、茶をただの嗜好品を超えた何かに高めているのでしょう。茶道の原点も、もしかしたらこのあたりにあるのではないでしょうか。

トリビア | - | -2004.05.21 Friday