最近、クローナルとは何かというこ…

最近、クローナルとは何かということについて議論があるようなので、私の知っていることを少し書いておくことにします。

クローナルとは、「ある親株と全く同じ遺伝子(=同じ特徴)を持つ茶樹」のことです。(大概の場合、挿し木でつくります。)従って原理的には、中国種のクローナル、アッサム種のクローナル、両者のハイブリッドのクローナル等、さまざまなクローナルが存在してしかるべきです。にも関わらず、実際にはクローナルといえば、あの特有のクローナルフレーバーを備えている。これはなぜか。

これは、1970年代にクローニングが実地に応用されるようになって以来、クローニングの技術が利用して植えられたものが、ほとんど全てチャイナハイブリッドであったという事実によるものです。日本のほとんどの書物では、「クローナルとは中国種とアッサム種を掛け合わせた品種」であるという説明がなされていますが、現実的にその説明は間違っているとはいえないのです。

しかし、なぜそれを「チャイナハイブリッド」でなく「クローナル」と呼ぶのか。

これを丹念に見ていこうとすると、19世紀からのインドの紅茶産業の変遷を、詳細に見ていかなければなりません。これは実に難しい作業で、インドのプロフェッショナルの間でも結論の出ていない問題が含まれています。

「クローナル」を含め、品種の概念については、いろいろとわかりにくいことが多く、きれいに一口で真実を説明することはなかなかかないません。でも、それは別に日本の紅茶に関わる人々が不勉強なせいではなく、インドの茶業関係者にとっても、よくわからない部分だったりするのです。

ちなみにクローニングについては、このオンラインストアのフォトギャラリーのインド編の30番台あたりに参考になる写真をいくつか掲載してあります。これは私がずいぶん前にダージリンの農園(セリンボン農園)に勉強に行った際に撮影したものです。興味のある向きはどうぞご覧下さい。

お茶を知る > お茶の豆知識 | - | -2004.05.31 Monday