安全性の問題について

今日は、ティーファクトリーの内部の写真をお見せしましょう。

紅茶の作り方は、今の時代いろいろなウェブサイトや書籍をご参考いただければすぐに見つかると思いますが、ここでは、それとはまた違う観点で見ていただきたいものがあります。

それは、工場の清潔さ、そして安全性に対する取り組みです。
工場内部

ここは、乾燥室。茶葉を乾燥させるドライヤーの設置されている部屋です。

まずは、その床面をご覧下さい。この清潔さ。茶葉がまったく落ちていないのがお分かりになりますでしょうか。これだけ清潔な床面は、国内外を問わず一昔前の製茶工場では考えられなかったと思います。

写真右側には、火入れを待つ茶葉が見えます。これも昔は床面に敷かれている農園も多かったと思いますが、この工場ではアルミニウムの棚に丁寧に敷かれ、次の工程を待っています。

中央の作業員は、マスクに帽子、そして手袋を着用しています。そうです。ここでは茶葉が摘み取られて工場に入るや否や、人手にまったく触れないですべての工程を経るのです。

左側のコンベアには、やはりプラスチックでカバーがされています。ここを茶葉が通過する際に、異物が混入しないためです。カバーの下部には磁石がいくつも設置されており、異物の除去が行われています。

そして、画面上部の照明にもご注目下さい。わかりづらいかも知れませんが、この照明にはカバーがかけられています。もしむき出しのガラスであれば、万が一ガラスが割れたときに、工場内に破片が散乱してしまいます。それを防ぐために、プラスチック製のカバーが設置されているのです。

これを見ればお分かりかと思いますが、もちろんこの工場は、HACCPとISO9001−2000を取得しています。すべての工程が安全で、間違いが無いように整備されているのです。

マハガストータ

また茶畑でのオペレーションも、同様に確立されており、農薬や化学肥料等の投与は、科学的な見地に基づいて、厳しく管理されています。そしてその投与量は、日本の10分の1をはるかに下回ります。

よく、日本の農業での事例を引き合いに出して、発展途上国であればなおさら安全性がないがしろにされているに違いないというような言われ方をされることがありますが、実際はこのとおりです。

もちろん、すべての工場がここまで整備されているわけではありません。それぞれの事業主体によって、こうした問題についての取り組みが異なるのは、どこの国でも同じことです。

あとは、バイヤーの問題です。つまり、「誰がどのようにつくったお茶を買い付けるか」ということです。

産地の息吹 > スリランカ | - | trackbacks (0)2009.02.27 Friday

Hanakoなど

本日発売のHanako吉祥寺特集にて、ティーサロンジークレフ吉祥寺店、ティーマーケットジークレフ吉祥寺本店がともに紹介されています。特にサロンの方は、大きめに扱っていただき、感激しております。

先日のカフェ&スイーツとあわせ、今月は各誌に好意的にご紹介いただいておりますが、今後も皆様のご期待に恥じぬように頑張りたいと思います。


話は変わりますが、実はスリランカのとある農園で、今回もお茶を作ってきました。今日は、そのひとつをこちらの水でテイスティングしてみたのですが、香りもよくかなり気に入っています。

このお茶は、ジークレフにとっても農園にとっても大きな意味合いを持つお茶になりそうな予感がします。なるべく早期にご紹介させていただきたいと思いますので、どうぞご期待ください。

お店からのご案内 | - | trackbacks (0)2009.02.26 Thursday

ダージリンの熟成

2週間ぶりに日本に帰国し、昨日久しぶりにダージリンを飲んだのですが、紅茶の味の変化に驚きました。ダージリンセカンドフラッシュが、芳醇さをさらに増し、えもいわれぬ風味へと変化していたからです。

味わいにはまろやかさが加わり、きらきらと輝くような香りが漂います。通常「美しい」という表現は香りや味には使用しませんが、今のセカンドフラッシュを飲んでいただければ、"Beautiful Muscatel"と人が表現するのがお分かりいただけると思います。

私が飲んだのは、サングマ農園の"Muscatel"ですが、この様子ですと他のマスカテルキャラクターのダージリン(シンブリ、バラスン、プッタボン、シーヨック)もさぞ変化していることでしょう。ぜひ改めてお試しください。

産地の息吹 > ダージリン | - | trackbacks (0)2009.02.25 Wednesday

空港にて

前回のエントリではお騒がせしました。これから帰国の途につきます。

銃弾
これは、知人が面白いものを見せようと持ってきてくれた物です。
昨日の政府軍の銃撃で、彼の家に打ち込まれたものとのこと。

私のほうの体験を話すと、さすがにスリランカ人でもそこまでの目にはなかなかあわないといっていました。そりゃあ、銃撃の開始が、まさに私の真横から始まった上に、頭上を銃撃が飛び交ったわけですから、そんな目にそうそう遭っては困るでしょう。

この国も、着実に平和へと向かっているはずなのですが、それでもこのようなことがまだ何度かは起こるのかもしれません。一日も早く解決することを祈りたいと思います。


さて、今回の訪問の成果は、遠からずお見せできると思います。スリランカと日本では、お茶業界の産業構造はなんとなく似ているように思いますが、そうした構造に少しずつ新しい風を吹き込んでいければと考えています。

産地の息吹 > スリランカ | - | trackbacks (0)2009.02.22 Sunday

コロンボにて

昨日、スリランカの山の中からコロンボに戻ってきました。お茶のこともいろいろお伝えしたいのですが、実は大変なものを目撃してしまいました。

日本でもニュースになっているようですが、実は昨夜、コロンボでタミルタイガー(反政府勢力)の空爆があり、まさにその交戦の真ん中にいたのです。

そのとき私は、ホテルに戻ろうと思って海岸線に沿った道路をリキシャで走っていたのですが、私のすぐ左の海岸からオレンジ色の花火が発射されました。カタカタという音が鳴りはじめ、花火は私の真横からだんだん前方へと移ってきます。

おかしいと思ったのは、数秒後でした。花火にしてはいやに強力です。そしてほどなくして町全体が真っ暗になり、花火だと思っていたオレンジ色の対空砲火は街中に向けても乱射されはじめました。

あとになって分かったのですが、このとき私が走っているすぐ横を、タミルタイガーの爆撃機が併走するように飛行していたようなのです。爆撃機は市内のあちこちに爆弾を落としたようです。結果として私は、交戦開始を目撃すると共に、まさに政府軍とタミルタイガーとの戦闘のど真ん中に巻き込まれるはめになりました。

ずいぶん長いこと、町の人々とともに暗闇に身を潜めて見守っていたのですが、やがて対空砲火の中から一機の飛行機が私や人々の上を通過していきました。どうやらそれがタミルタイガーの爆撃機であったようで、周囲の人々もそれを指差しながらどよめいていました。報道によると、この飛行機もその後空軍によって撃墜された模様です。

私の宿泊していたホテルは旧国会議事堂と大統領官邸にはさまれる位置にあったため、空爆の後も道路は封鎖されていましたが、迂回して唯一歩行者が通れるようになったところからホテルに戻りました。ホテルのそばも空爆を受けたらしく、道路にはガラスが激しく散乱している場所が3箇所ありましたが、ガラスを踏み越えながら何とかホテルにたどり着きました。今朝は街も落ち着いているようです。

さて、お茶についてはそれなりの成果はあったと思います。入荷にはしばらくかかりますが、ある意味命がけで買ってきたお茶です。どうぞご期待ください。

産地の息吹 > スリランカ | - | trackbacks (0)2009.02.21 Saturday

ニルギリのトイトレイン

ダージリン鉄道に比べると、日本での知名度はいまひとつですが、実はニルギリにもトイトレインがあります。インドの登山鉄道群として、ダージリン鉄道とともに世界遺産に登録されているトイトレインがこれです。

toytrain1

なぜか隣に牛がいるのがインド的ですね。大きな汽笛の音を鳴らすと、牛は驚いて逃げていくようで、特に事故にはならないみたいです。ちなみに格納庫にはなんと4台の機関車が眠っていました。ダージリン鉄道は2台じゃなかったかしら。

toytrain2

このトイトレイン。当然のことながら農園を抜けていきます。もともと紅茶を運ぶためにつくられた鉄道ですからね。
glendale

この写真はグレンデール農園です。グレンデールには、農園の中に駅があるのだそうです。ニルギリの中では、標高の低めのグレンデール農園ですが、それでも海抜1500mぐらいはあります。

コーラクンダーが仙人の住むような厳しい環境の農園だとすれば、グレンデールは木々や草花に満ちた桃源郷のようなところだといえるでしょう。同じニルギリというカテゴリーではありますが、これほどまでに豊かな個性を持っています。そしてそこから産するお茶もまた、まさに農園の息吹を感じさせるような香気を放ちます。

これから春に向けて、続々とこのニルギリのお茶をご紹介させていただきます。どうぞご期待ください。

産地の息吹 > ニルギリ | - | trackbacks (0)2009.02.17 Tuesday

広大な敷地

コーラクンダー
「農園の広さがわかるように、いいところに連れて行ってあげるよ。」
そう行って連れてこられたのがこの場所です。

「あの稜線のずっと向こうに見える山。あそこまでがコーラクンダー農園です。」
インドの農園が広いのは、もちろん分かっていたつもりでしたが、それでも実際にこうやって見せられると圧倒されます。しかも彼によると、私の背後にも同じぐらいの奥行きがあるというのです。

森に囲まれたこの農園は、標高2300mまでの高さに広がっています。ニルギリの最高峰が、2350mぐらいですから、ほぼ最高峰まで分布しているといえるでしょう。ちなみにこれは、紅茶農園としては、世界でもっとも標高の高い農園なのだそうです。

この農園は、12月にはマイナス12度にもなるということです。実際、今年は霜の被害が甚大で、谷間の茶樹の多くは枝が枯れてしまっていました。

ニルギリの草地
この写真はまさにその谷間の部分です。ここにはお茶を植えても、霜にやられて枯死するのが分かっているので、植えないでそのまま草地で残しているのだということでした。

もともとニルギリはこの草地と、少々の森で構成されていた高山で、19世紀に入植した英国人たちは、森の部分はそのまま残し、草地の部分に茶樹を植えたのだそうです。それゆえ、このコーラクンダー農園は、多くの自然林に囲まれた、まさに自然と一体になった農園として、お茶づくりを営んでいるのです。

南インドで最初の有機栽培農園は、なんとこんな土地でした。人里から離れてこんな土地に暮らし、週に一回、里に下りて買出しをしてはまたお茶作りを続けるこの農園の人々の暮らしは、どんなにかひっそりとしていることでしょう。

そんなことに思いを馳せながら頂く紅茶は、また味わいもひとしおかと思います。その中でも更に渾身の力作といえるお茶をご紹介させていただくつもりでおりますので、どうぞご期待ください。

産地の息吹 > ニルギリ | - | trackbacks (0)2009.02.16 Monday