今日は感激な出来事がありました。…

今日は感激な出来事がありました。さる人の紹介で、大阪の誇る老舗紅茶店、「ムジカ」の堀江さんとお話しできたのです。今でこそ日本に紅茶専門店は数あれど、まだ紅茶専門店というものの存在すらなかったところから、紅茶のよさ、楽しさを知らしめてきたムジカの功績はとても大きく、私たちのような後輩は少なからずその恩恵を受けてきたと言えます。

その意味、堀江さんがジークレフに興味を持ち、(電話でではありますが)お話できる機会をいただいたことは、私自身とても大きな出来事だったんです。

私は、老舗という存在に憧れています。老舗であるためには、本当に価値のあるものを変わらずに提供し続けることが必要です。しかも安く。

ジークレフは創業して未だ8年。ムジカは52年。
あと50年後にも、変わらずに本当によい紅茶を、安く提供して行きつづけられるのか。短いながらも堀江さんとのお話は、ジークレフのリニューアルオープンにあたり、よい意味での刺激を与えてくれました。ありがとうございました。

トリビア | - | -2004.03.09 Tuesday

どうにか無事に開店初日を終えるこ…

どうにか無事に開店初日を終えることができました。
吉祥寺店、オンラインストアにご来店いただいた本当にたくさんのお客様、ありがとうございました。

ちょうど今月はじめ(つまり改装中ですが)に、ジークレフが紹介された本が二冊出版されました。1冊は「cafe sweets」の4月号。こちらは紅茶、中国茶の名店が軒並み紹介されていて、その中に恥ずかしながらジークレフにも1ページを割いていただいています。

もう一冊は以前にも少し触れた熊崎俊太郎さんの「Happy Tea Time」。こちらは、まあ店名と住所だけなんですが…。でもやはりこの本は期待にたがわぬ力作です。熊崎さんと、カメラマンさんとスタイリストさんが、1ページ1ページを丁寧に丁寧に仕上げた素晴らしい出来栄え。内容的にも常に新しい情報が盛りだくさんなところにもやはり著者の人柄を感じさせられます。

最近はお茶に関する情報の充実振りには目を見張るものがありますね。ジークレフも、こういった側面でも皆様のお役に立てるよう努力していきたいと思います。

お店からのご案内 > その他の商品 | - | -2004.03.07 Sunday

今年初めてのダージリンファースト…

今年初めてのダージリンファーストフラッシュのサンプルをテイスティングしました。ある名園の2月摘みの紅茶です。

通常DJ-1という、農園のその年の初荷は、一週間から二週間ぐらい毎日少しずつ収穫してロットをまとめたものが当てられます。(農園によっては、何ロット分か収穫してから、一番よいものをDJ-1として出荷する場合もあります。)

今回届いたサンプルは、その中でも最初に収穫された10kgか15kgかを、それだけでひとつのロットとしてまとめてしまったもの。おそらく去年ジークレフが入荷したマカイバリ農園のウィンターフラッシュのようにEX-1といったナンバーが冠されるような代物です。

さて前置きが長くなりました。今年初のダージリンはどうだったか。
まずは外観。とてもやわらかい羽毛のような茶葉に、ふんだんに含まれたシルバーティップス。それはこの紅茶が、本当に芽吹いたばかりの新芽だけを摘み取ったことを示しています。そしておそらくは茶葉が柔らかすぎたのでしょう。丁寧に揉んだことははっきりしているのに、ティップの中には茶液がにじみ出てゴールデンティップスに変化しているものがあります。つまり結果として揉みが強くなってしまったのです。

では風味の方は。香りはほんのりと甘く、ヒマラヤに訪れた春を思うと、この香りに思わず微笑んでしまいます。口に含むと、香りの割には浅い甘みが舌の上を転がります。余韻は思いのほか強く、カップの残り香は、中国茶の聞香杯を嗅いだように甘く濃密な香りがありました。

してみると、どうも発酵が浅すぎたようです。茶葉の揉みを強くしてしまったために、発酵を止めるタイミングが難しくなってしまったのでしょう。茶葉本来の持つ豊かな香り成分を充分に引き出しきれていないような気がしました。しかしこのサンプルは、ダージリンの丘の茶樹たちが、順調に香りをはぐくんでいることをはっきりと知らせてくれました。

そうそう、今年はスリランカでも、ディンブラシーズンの良いものが出来始めているようです。こちらのサンプルも、もうすぐ本格的に届き始める予定です。

産地の息吹 > ダージリン | - | -2004.03.02 Tuesday

紅茶とまったく関係ない話で恐縮な…

紅茶とまったく関係ない話で恐縮なんですが、個人的にジークレフの並びにあるメキシコ料理やさんに最近ハマッています。メキシコ料理というと、なんとなく味の強いような印象があるのですが、この店"Entrance Mondo"は素材の味がよく出ていて(かなりよいものを使っています)、ナチュラルな感じがします。

とくにおすすめは、お昼のランチのメキシカンカレー900円。
ココナツパウダーが香るマイルドな風味のカレーは、食べやすくしかも従来にない新感覚のカレーです。カレー激戦区の吉祥寺にあって、十分存在感のある味ですよ。ほかには当然のことながらタコスもおすすめ。場所は、あの名店「ティークリッパー」のあった建物の地下です。

トリビア | - | -2004.02.27 Friday

臨時休業のお知らせ\…

臨時休業のお知らせ

紅茶葉専門店ジークレフ吉祥寺店はリニューアルのため、3/1〜3/5まで臨時休業いたします。なお、オンラインストア、電話、ファクスでの通信販売は休業期間中も、通常通り受け付けております。

3/6より"TEA MARKET G clef"としてリニューアルオープン致します。

お店からのご案内 > その他の商品 | - | -2004.02.26 Thursday

昨日は、テイスターが味覚や嗅覚を…

昨日は、テイスターが味覚や嗅覚をセンサーとして利用し、その味や香りをもたらす成分を測っているのだということを示しました。これはとても重要なことです。しかし、これだけでは、テイスターとしては万全とはいえません。いくら感覚が優れていても、その人の思うよさが、万人のよさとかけ離れていては、そのセンサーは役に立たないのです。

実はここでつまずいているテイスターはけっこういます。例えば渋すぎる紅茶を選んでしまう場合。テイスターは概ね渋みに強くなりがちなので、渋くはいりやすいという特性を軽視してしまうんですね。

では、何をもってよい紅茶とするか。実は「よい」の具体的な内容については、テイスター(もしくは会社)によって異なります。何をもって「より日持ちがする」とするかは、ある程度客観的に論じえるでしょうが、何をもって美しい色とするか、何をもってよい香りとするかは、結局ひとりひとりの主観で決まるからです。

大手の会社の中には、「よい」の基準を市場調査に求めているところもあります。ある程度の人数を無作為に抽出して、どの風味が最も好まれるかを調べ、それに近いものを提供しようと考えるのです。

ジークレフは今のところ市場調査はしていません。それぞれの産地のもつ個性をどれくらいよく実現しているかという尺度に従って紅茶を選んでいます。ニルギリは甘くて華やかな香りを湛えるもの、ミルクティ好きな方を念頭におきつつ、スウィートポテトのような香りの楽しめるもの、といった風に、それぞれの産地ごとにジークレフの理想に近い紅茶を選ぶようにしています。

上記のことからわかるとおり、紅茶のよしあしについての価値判断は、どこまでいっても客観性を持つことはできません。せいぜい、多数の主観による多数決が可能なぐらいです。ですから、テイスターも万人にとっての最高の紅茶を選ぶことは不可能です。できる最大限のことは、紅茶における「最大多数の最大幸福を追求する」ことぐらいなのです。

そのためジークレフでも、できる限りさまざまな産地から、多様な個性を持つ紅茶を入荷するように心がけています。そして、ひとりひとりのお客様と対話することによって、そのお客様ひとりひとりにとっての最高の紅茶を見つけること、それが万人にとってのおいしさを追求する、私たちの答えなのです。

お茶を知る > お茶の豆知識 | - | -2004.02.20 Friday

昨日は、テイスターが自分の主観の…

昨日は、テイスターが自分の主観の中で紅茶の優劣を比較するときには、論理学でいう三段論法が適用できることを示しました。

次に、テイスターの主観的判断、「私はこの紅茶を最もよいと思う。」を客観、すなわち「この紅茶は最もよい紅茶だ」に近づけるためにはどうしたらよいかについて考えてみましょう。

ある紅茶が「よい」といったとき、そこには必ず理由があります。
・より甘みがある。
・より香りがある。
・色が美しい。
・より日持ちがする。
等々。

こうした尺度を念頭に置いたとき、もう一歩踏み込んで考えると、そこには科学的な根拠があるはずです。つまり、「甘みを担うAという成分が多い」とか、「香りを担うBという成分が多い」とかです。逆に「Cという風味があるからにはより日持ちがするはずだ」などという推論も、同様の理由から成り立ちます。味覚は個人的なものですが、その味覚を感じさせる成分自体は、客観的にそこに存在します。テイスターの味覚や嗅覚、視覚は、味や香りから、そうした紅茶の持つ属性を推察することによって、主観を客観と結びつけることができるのです。

ですから時には、今おいしいAよりも、将来にわたってよりおいしくなるBを選ぶ可能性は、実際に存在します。それは例えば、Aという紅茶を今おいしく感じさせてくれる成分aは、2ヶ月しか保持しない成分である、などという場合におこります。冒頭の命題で、「おいしい」ということばを使わず、「よい」と書いたのはそういう理由からです。

このように、テイスターは自らの感覚をセンサーとして利用します。センサーの性能は個々人によって違いますが、よいセンサーを持つだけではまだ、優れたテイスターとはいえません。それは何故か。そのことについてはまた明日考えましょう。

お茶を知る > お茶の豆知識 | - | -2004.02.19 Thursday

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