今年初めてのダージリンファースト…

今年初めてのダージリンファーストフラッシュのサンプルをテイスティングしました。ある名園の2月摘みの紅茶です。

通常DJ-1という、農園のその年の初荷は、一週間から二週間ぐらい毎日少しずつ収穫してロットをまとめたものが当てられます。(農園によっては、何ロット分か収穫してから、一番よいものをDJ-1として出荷する場合もあります。)

今回届いたサンプルは、その中でも最初に収穫された10kgか15kgかを、それだけでひとつのロットとしてまとめてしまったもの。おそらく去年ジークレフが入荷したマカイバリ農園のウィンターフラッシュのようにEX-1といったナンバーが冠されるような代物です。

さて前置きが長くなりました。今年初のダージリンはどうだったか。
まずは外観。とてもやわらかい羽毛のような茶葉に、ふんだんに含まれたシルバーティップス。それはこの紅茶が、本当に芽吹いたばかりの新芽だけを摘み取ったことを示しています。そしておそらくは茶葉が柔らかすぎたのでしょう。丁寧に揉んだことははっきりしているのに、ティップの中には茶液がにじみ出てゴールデンティップスに変化しているものがあります。つまり結果として揉みが強くなってしまったのです。

では風味の方は。香りはほんのりと甘く、ヒマラヤに訪れた春を思うと、この香りに思わず微笑んでしまいます。口に含むと、香りの割には浅い甘みが舌の上を転がります。余韻は思いのほか強く、カップの残り香は、中国茶の聞香杯を嗅いだように甘く濃密な香りがありました。

してみると、どうも発酵が浅すぎたようです。茶葉の揉みを強くしてしまったために、発酵を止めるタイミングが難しくなってしまったのでしょう。茶葉本来の持つ豊かな香り成分を充分に引き出しきれていないような気がしました。しかしこのサンプルは、ダージリンの丘の茶樹たちが、順調に香りをはぐくんでいることをはっきりと知らせてくれました。

そうそう、今年はスリランカでも、ディンブラシーズンの良いものが出来始めているようです。こちらのサンプルも、もうすぐ本格的に届き始める予定です。

産地の息吹 > ダージリン | - | -2004.03.02 Tuesday