これであなたもティーテイスター

カップに入ったお茶とテイスティングカップに乗った茶殻。

そこには、作り手の思いや自然からのメッセージがたくさん込められています。
お茶を味わって、作り手の思いや狙いを感じ取れるようになれば、あなたはもう
ティーテイスター。今日は、テイスティングの見所についてお教えしましょう。

1.茶殻:
1-1.香り
まずはテイスティングカップを手にとって見ましょう。
茶殻に鼻がくっつくくらいに近づけ、ワンちゃんになったつもりでクンクンかいでみてください。よく香りがわからなかったら、茶殻をちょっとかきわけてみましょう。それだけでも香りが開いてくるはずです。茶殻の香りは、淹れたてのときと、時間が経ったときで変わってきます。その変化もお見逃しなく。

茶殻の香りの中には、土壌や天候、環境由来のものもありますし、工程由来のものもあります。有名なのは、ウンカの虫害によって生じる甘やかな香気。また霜の降りるような厳しい寒さを乗り越えたお茶だけが持つ香りや、春先の最初の収穫のお茶だけが持つ香気、成熟した茶葉ならではの香気もあります。また、工程由来のものとしては、火入れによって香ばしい香りをかもし出すように工夫したりもしますし、発酵の浅いお茶ならではの香りもあります。

1-2.ハリとツヤ
茶殻のハリとツヤを見ると、茶葉の生命力や香り、味わいの充実度を目で測ることができます。生命力のある、良い時期に摘まれたお茶は、元の木に生えていたときの形に戻ろうとします。だから、立体感があり、ハリのある茶殻になります。

ツヤは香り成分ののりのよさのバロメーターです。光沢が豊かであるお茶は、まろやかであることを約束してくれるとともに、香りの持続力もあらわしてくれます。

2.茶液:
2-1.質感
カップの茶液を見たら、まずわずかに揺らしてみてください。液面の揺れがゆっくりなお茶ほどまろやかなはずです。そしてそうしたお茶は余韻が豊かであることが多いです。茶液もまた、光沢が豊かなほど香り高くまろやかであるはずです。

2-2.香り
次に、カップから上ってくる香りを感じてみましょう。ふんわりと上に上がってくる香り。そして、カップに鼻を近づけたときに液面に層になってたまっている香り。この二つの香りでは表情が異なるはずです。

2-3.味わい
一口茶液を含んだら、おそばをすする要領で舌の上でズズズッと転がしてみましょう。空気が含まれると共に、さまざまな味わいと香りが口の中に広がるはずです。味わいについては、どんな味わいを舌のどの部分で感じているかに注意しながら感じてみましょう。渋みにも、何種類もの渋みがあり、それぞれに感じる部位も感じ方も違うはずです。甘味、酸味も同様です。またうまみの強さは、唾液の分泌を促すようなジューシーな感覚として感じられることでしょう。

実は、それぞれの味わいには、どのような作りをほどこしたかというメッセージが込められています。土壌について、そしてもみこみ方、発酵、火入れの仕方など。作り手がどのようなお茶を作りたいかと思い、それがどの程度実現できているかが、そのお茶から伝わってくるのです。本当によいお茶からは、その作り手の人柄や思い入れまでが、茶葉から感じ取れることでしょう。

もちろん、天候や環境由来の味わいもあります。香り豊かな紅茶から、豊かな自然の恵みが想起されるのは偶然ではありません。

2-4.余韻
飲み終わったら、口の中に残る香りや味わいについても注意を払ってみてください。また、カップから揮発する香りも、空のカップの香りを聞くことで感じてみてください。余韻の豊かさは、本当によいお茶ならではのもの。見過ごしてしまうのはもったいない!!この余韻の楽しみは、最後まで残さず飲みきった飲み手だけに与えられた特権です。

3.記録:
今飲んだお茶の香り、味わいなどについて記録してみましょう。
ことばにすることで、味わいや香りの繊細な部分までどんどん感じ取れるようになります。

自分のことばでお茶を語る楽しみは、あなたとお茶との関わり方を新たな次元へと高めてくれますよ。

お茶を知る > 淹れ方・楽しみ方 | - | trackbacks (0)2008.05.24 Saturday

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