龍井茶のおいしさは、どうやら日本…

龍井茶のおいしさは、どうやら日本の水でもほぼ問題なく再現可能なようです。中国茶の、特に上質なものはどうしても、産地で味見をしてその場で買わなければいけないことが多いのですが、幸いなことに紅茶と違って、多少水質が違っても入り方はあまり変わらないことが多いようです。

龍井茶は「無味の味」といわれるように、薄い抽出の中で微妙に変化してゆく風味を楽しむのが醍醐味です。従って水のおいしさは味に強い影響を与えるはずなのですが、それでも問題なくおいしくはいる。これが銘茶というものなのかも知れません。

私の感触では、獅子峰、梅家塢、龍塢といった産地による味、香りの差は、やはり余り大きくないように思います。味に影響を最も与えるのは、摘んだ時期でしょう。同じ清明節の前でも、前半と後半では、多少甘みに差が出ます。清明節以降のお茶に関しては、最初はやはりおいしいのですが、時期が下るにつれ、風味はぐっと落ち込むようです。

品種についても、岩茶などと違って大きなこだわりはないようです。現在のところ龍井13号がよいとされていますが、これは病気や害虫への耐性が強いから。香りの特徴や、収穫量については、まだそれほど志向されていないようです。

一方、職人の腕の影響は大きいようです。そして優れた職人は、名産地に多い。そして名産地の名を高からしめるのに一役も二役もかっています。職人の腕のよしあしは出来上がった茶葉を見れば分かります。

ちなみに、よく中国茶の本で、龍井茶のグレードとして、蓮芯、雀舌といったことばが見られますが、最近はそういったグレード分けは余り見られなくなっているようです。

これは龍井茶のよしあしを決める最大の要素が、葉の見栄えから摘んだ時期に変わったから。最近は、明前茶の中でも細かくグレードわけされていますが、その基準は、何月何日に摘まれたかです。

産地の息吹 > 中国・台湾 | - | -2004.05.06 Thursday