ダージリンの丘では、伝統的なオー…

ダージリンの丘では、伝統的なオーソドクス製法に力を入れつつ、あたらしいお茶を作り出す努力も日夜続けられています。中でも今年入荷はしなかったものの、注目すべきお茶に、ナグリ農園のナチュレールがあります。この紅茶は従来の一芯ニ葉で摘むかわりに一芯三葉で茶摘みを行います。

一芯三葉というと、紅茶では収穫量を増やすために質を低下させるオペレーションとしてネガティブに捉えられがちですが、このお茶はもっと意欲的に一芯三葉をとららえています。すなわち、3枚目の葉のもつ風味をきちんと引き出すことにより、今までと違うタイプのダージリンティを作ろうとしているのです。

一芯三葉で摘まれて、素晴らしい風味を醸し出しているお茶の代表は、安渓の銘茶、鉄観音です。最高の鉄観音は、中国では信じられないような高値で取引されることもしばしばで、もしダージリンでも一芯三葉で今の紅茶以上の風味を引き出せればこんなによいことはありません。

ナチュレールについて言えば、茶液は、通常期のダージリンよりは既に風味がありました。まだまだ最高級のセカンドフラッシュには及ばないとはいえ、茶殻にはとてもよいマスカットフレーバーが感じられます。この香りを茶液にまで引き出すことができれば、それはもう新次元のダージリンといえます。

今までもいろいろな「ニュータイプ」のダージリンがお目見えしてきましたが、このナチュレールは、単に形に凝ったりとか、目先を変えただけのものとは違う本格派といえます。既に形になっているとは思いますが、今後、更に改良を重ね、芸術の域まで高めてくれればと、願ってやみません。

産地の息吹 > ダージリン | - | -2003.07.23 Wednesday