ダージリンセカンドフラッシュは本当に値上げされるのか

シンゲル茶摘み
昨日(8/10)のジークレフが取材を受けた報道を含め、テレビ局各社のダージリンについての報道はあらかた「セカンドフラッシュ生産ストップ。ダージリンティ値上がり」という話ですね。しかし、ジークレフも含め、各社のセカンドフラッシュは実際には値上がりしていません。それは各社の入荷状況をご覧になれば、すぐにわかることかと思います。

セカンドフラッシュの生産が途中でストップしたとは言っても、その段階ですでに質の高いダージリンはそれなりに生産されていました。ピュアマスカテルのダージリンに関しては、生産が止まるまでの段階のものだけでも昨年よりもずっと多いですし、質も高かったと思います。

そして実際に、シングルオリジンティに力を入れている各社は、例年通りの価格で例年通りのボリュームでダージリンの2ndフラッシュを入荷しています。クオリティも昨年を上回っていると思います。そうした各社の努力には、もっと目を向けられてよいのかなと感じます。

実際のところ、今年のセカンドフラッシュは美味しいです。そしてその中でも、私どもが見る限り、かなり美味しいと思ったダージリンは、相当の割合で日本に来ています。そこについては、紅茶ファンの皆様には信頼いただいてよいのではないかと思います。

ではなぜ報道の上で、「セカンドフラッシュが品薄となり、値上がりしている」となるのか?これは、セカンドフラッシュとは何かという概念の問題に起因します。海外のニュースソースが報道する際、「セカンドフラッシュ」とはこの時期に生産された紅茶全体を指します。そして「値上がり」とは、あくまで現地での取引価格のことです。

しかし、日本では一般に「セカンドフラッシュ」として流通しているのは、上記のようなピーククオリティの紅茶を指すことの方が多いかと思います。これらはセカンドフラッシュの中でも、シングルオリジンティとして流通するに相応しい最高級のものです。これらはそもそも、全体的な相場形成がなされるオークションに出品される以前に、水面下で作り手との相対取引(プライベートセール)で購入するものです。

今回のゼネストは、オークションにセカンドフラッシュが投入される以前に発生しましたが、この段階で上記のように生産そのものはある程度進んでいたため、プライベートセール(相対取引)は行われていました。ですから、ピーククオリティのダージリンは、確かにスト発生後は一部で価格は上昇を始めましたが、その上昇分はあまり小売価格に上乗せされることがなかったように思います。

そして、その後のオークションに出品された紅茶は、需給のひっ迫のため価格は上昇しましたが、生産が完全にストップしているため、相場の上昇というよりは、商品の枯渇という形になっています。一般に流通するピュアダージリンのリーフティやブレンド用、ティーバッグ、ペットボトル用の紅茶は、「値段が上がった」というよりも、「なくなった」という方が妥当でしょう。

こういった事情ですので、日本の紅茶ファンが求めている「セカンドフラッシュ」が値上がりするということは、少なくとも今年はないと思います。美味しいダージリンは、今年も変わらずここにあるのです。すぐになくなるような状況でもありません。そのことは、ぜひ皆様ご自身の舌と鼻で、お確かめいただければ幸いです。

産地の息吹 > ダージリン | - | trackbacks (0)2017.08.11 Friday

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