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ある技術支援の試みについて
お茶は、緑茶、烏龍茶、紅茶を問わず、原理的には火力ひとつあればあとは人力で製茶が出来てしまうものです。今でこそいろいろな機械が登場し、製茶も近代化されていますが、かつてはそれぞれのお茶農家は、炭火ひとつで製茶を行っていた時代がありました。
そこで、8月にネパールを訪問した際、小規模農家の人々が家庭で紅茶をつくれるような支援ができないかと思い、現地の農園のオーナーに提案をしてみました。現状では、農家の人々は摘んだ葉をそのまま日光乾燥して、お土産用などに販売しているといいます。炭火でもガスでも電力でも、熱源ひとつあれば各戸でお茶がつくれるため、そうした昔ながらの製茶技術の移転は、人々の生活水準の向上に何がしかの寄与ができるのではないかと考えたのです。そのような形で手もみの腕のよい職人の育つ土壌が形成されれば、いずれはその中から新たなお茶が生まれてくることは間違いありません。 しかし、現地の農園オーナーからは、また別の問題が絡んでくるという返答を得ました。ネパールでも、他国同様森林資源の無計画な伐採が問題になっており、そうした製茶技術の移転は、同時に森林伐採に拍車を掛け兼ねないというリスクも負っているというのです。また、家計の多くを単一の換金作物であるお茶に依存するより、野菜などを育てて地域のマーケットで売ることを支援したほうが、よりバランスのとれた成長に繋がるとのことでした。まさしく正論です。 かくして、江戸時代のような素朴な製茶技術の移転は、今回は実現しませんでした。しかし、ネパールのような、貧しく、しかも資源の乏しい国への支援を考えるとき、日本ではもう過去のものとなったような人手に頼る技術の方が、大きな成果をあげられることも少なくないとは思っています。今度はまた別のことを考えて提案してみようと思います。 ちなみに、今回検討したような手揉み茶の普及は、ガスや電気などのインフラが整備されてきているインドやスリランカであれば、小規模農家の育成によって大規模プランテーションからの脱却が図れるため、別の意味を持ちえるかもしれないと思ってはいますし、ネパールでも上記で指摘された問題がクリアできれば、価値は少なくないとは思っています。いずれチャンスがあれば、別の形で再提案してみるつもりです。 産地の息吹 > その他のお茶 | - | trackbacks (0)2009.09.11 Friday TRACKBACK URI
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