ダージリンについての表現で、私が…

ダージリンについての表現で、私が愛用していることばのひとつが「紅茶のシャンパン」です。この表現、長らくダージリンの枕詞として使われ、相当陳腐化した表現のようにも思えますが、おいしいダージリンに出会えば出会うほど、ダージリンをシャンパンに喩える気持ちがわかるようになってきました。

例えば今回のセカンドフラッシュでいえば、ストロングタイプのグームティのDJ-53は、ドライなタイプのシャンパン。メロータイプのキャッスルトンDJ-100は、スウィートな甘味の強いものと、どちらも確かに良質のシャンパンに近い風味を持っているのです。私が思うに、シャンパンの比喩に値するダージリンはほんのわずかですので、なんでもかんでも「紅茶のシャンパン」と枕詞にするのは賛成できませんが、最良のダージリンと最良のシャンパンに相通じるものがあるのは確かだと思います。

紅茶をお酒に喩えること自体は、紅茶の歴史の中で今に始まったことではないようです。紅茶が英国で庶民にも普及した理由のひとつに、当時の英国の禁酒法と、紅茶の風味が英国人が愛飲していたビールやウィスキーに似ていることが挙げられています。

ウィスキーと紅茶の風味が近いというと意外かも知れませんが、紅茶の元祖である正山小種(ラプサンスーチョン)と、英国のアイラ地方で作られている気合の入ったシングルモルトであるラガブーリンなんかを飲むと、実に良く似ていることに気づかされます。

ラガブーリンは、ピートの利いた、ウィスキー通が最後にたどり着くといわれる銘柄ですが、武夷山で昔から作られている伝統的な正山小種の竜眼の香りと色、飲み終わりの余韻は、頑固に昔からの伝統を守りつづけるこの蒸留所のウィスキーにそっくりなのです。ついでにいえば、時代がどんなに移り変わっても、それに迎合しないところなんかもまた似ています。

また、ビールについても同じことが言えて、セントジェームズ農園や、チェルシー農園のシーズナルクオリティのウヴァや、メロータイプのディンブラ、ストロングタイプのニルギリなどは、英国伝統のフルーティなエールとよく似ています。個人的に最近よく飲むアボットエールなどは、ウヴァの美しい緋色の茶液、豊潤な香り、特有のほのかな苦味に通じるものがあります。

そうそう、酒の話ついでに、最近のお気に入りのお店を紹介させていただきますね。

"Ullapool"。吉祥寺東急デパートの北側、第一ホテルの真裏にある小さくておしゃれなイングリッシュパブです。私の知る限り、ここの英国料理は英国で食べるよりずっとおいしいです。
アボットエールもここで飲ませてくれます。

Ullapool
東京都武蔵野市吉祥寺本町2−8−4リベストフォーラム競咼1F
電話 0422-20-3225

トリビア | - | -2004.08.06 Friday