「今年は豊作なので良いファースト…

「今年は豊作なので良いファーストフラッシュを仕入れるのはたやすい。」先日の茶飲み話でそう書きましたが、どうやら状況は違って来ています。非常に薫り高い紅茶は確かにたくさんつくられてきているのですが、その多くにあっという間に買い手がついてしまっているのです。
つまり、取り合いになっているということ。

いったいどこにこんな旺盛な需要があったのでしょう。話を聞いてみるとヨーロッパの買い手がすごいスピードで買いを入れているとのこと。どんなによいサンプルが届いても、売り切れでは話になりません。ダージリンの買い付けはいつも一筋縄ではいきませんね。

さて作柄の方ですが、どうにもすごいことになっています。
前回紹介したノースタクバルの紅茶に比肩する出来のインボイスが、いくつも出てきました。農園名を列挙すると、グームティ農園、サングマ農園、リシーハット農園、プッタボン農園、シンブリ農園。これらは実際に私が試したものだけですので、ダージリンの丘全体では他にも素晴らしい紅茶を産する農園があることでしょう。

念のため補足しておきますと、この茶飲み話でのご報告は、吉祥寺の水でテイスティングした結果をもとにしています。これは、産地での判断とは異なりますし、ヨーロッパ各国の判断とも異なります。もっと言えば、大阪でも名古屋でも、東京とは水質が少しずつ違いますので、同じ紅茶をテイスティングしても違う鑑定結果になることでしょう。

世界中どこで淹れても最高の紅茶というのは存在しません。紅茶は水との相性を抜きには語れないのです。それゆえにインドやスリランカでは、日本酒のように鑑評会やコンペを行って金賞茶を決めるというようなことはしません。それが見識というものなのでしょう。

産地の息吹 > ダージリン | - | -2004.03.26 Friday