紅茶の香りをみなさんはどう表現さ…

紅茶の香りをみなさんはどう表現されますか。
ダージリンはマスカットフレーバー。ヌワラエリヤは、夏草を踏みしめたときの草いきれのする香り。でも中にはあまり上品でない表現も聞かれます。

例えばウヴァの香りはサロメチール。キームンはけむり。ラプサンスーチョンに至っては正露丸です。紅茶の香りもこう例えられると形無しですね。

キームンの香りは、スモーキーとはいいますが、よいキームンは別に煙っぽくはありません。産地の人は、バラの香りだと主張します。ラプサンスーチョンだって、正露丸のイメージは、低級なものによる不当な比喩だといえます。最上級のものは、むしろ竜眼(ロンガン)に喩えられるほうが的確でしょう。

でも、ウヴァの香り成分の主たるものは、メチルサリシレート(サリチル酸メチル)。化学的に見ても、サロメチールの喩えも的外れとはいえないんですよね。ちなみにこの成分は、ダージリンのマスカットフレーバーの重要な構成要素でもあります。シャモン農園の夏摘みなどは、わりあいウヴァに近い香りといえますが、メチルサリシレートがたくさん含まれているのかも知れません。

でも、ひとつだけ不思議なことがあります。ウヴァの香りをサロメチールと表現するとき、ひとはきまってそれをほめ言葉に使うのです。

「これはすばらしくサロメチールですね!!」

お茶を知る > お茶の豆知識 | - | -2003.09.21 Sunday